最近、公正取引委員会と中小企業庁がまとめた下請法改正案が話題になっています。
下請法改正案、価格協議を義務に 公取委・中企庁(日本経済新聞)
その中でも、中小企業・個人事業主のみなさんにとって気になるのが「ファクタリングでの支払い」ルールの見直しです。
今回の改正でどのように変わるのか、ポイントを分かりやすくご紹介します。
1. 約束手形の禁止とファクタリング支払い
• 2026年に廃止を目指す約束手形
従来、企業が下請先へ支払いを先送りする手段として使われてきた「約束手形」。支払いを受け取るまで時間がかかり、手形が不渡りになるリスクもありました。
今回の下請法改正案では、「約束手形を使った支払いの禁止」が盛り込まれる見込みです。これは下請企業の資金繰りを安定させる目的があります。
• ファクタリングの利用が増える可能性
約束手形が使えなくなると、企業は現金払いをはじめ、ファクタリングを利用した支払いを検討することになるでしょう。ファクタリングを使えば、下請企業は本来の支払期日より早く代金を回収できる可能性があります。
2. “満額支払い”の意味とは?
今回の改正案では、ファクタリングによる支払いについて、
「下請企業が満額を受け取れる形に限定する」
という方向性が示されています。
これはつまり、手数料が差し引かれて、下請企業が本来の請求金額より減額されてしまうことを防ぐ狙いがあります。
通常のファクタリングの場合
• 下請企業が持つ売掛債権(将来受け取るお金)を、手数料を差し引いた額でファクタリング会社へ売却するのが一般的。
• 手元に現金を早く得られるメリットはあるものの、下請企業は請求額より少ないお金しか受け取れません。
改正案のファクタリング“満額支払い”
• 下請企業が請求額どおりの100%を確実に受け取れるようにするのがポイント。
• たとえば、発注企業やファクタリング会社側が手数料を負担したり、あるいは手数料分を後から清算する仕組みを整えたりすることが考えられます。
• いずれにしても、下請企業が“割を食わない”よう、支払いの仕組み全体を見直そうとしています。
3. なぜファクタリング“満額支払い”が必要なのか?
• 中小企業の資金繰りを安定させるため
手形や通常のファクタリングによる支払いでは、下請企業が資金調達に苦労しがちでした。満額支払いが確保されることで、キャッシュフローが改善し、賃上げや設備投資といった前向きな経営判断がしやすくなります。
• 不正・不透明な慣行を減らすため
従来は手形の不渡りリスクや、不当に低い手数料設定による“買いたたき”などが社会問題化していました。改正案では、こうした取引慣行を是正しようという意図があります。
4. これからファクタリングを利用する企業へのアドバイス
1. 契約内容をしっかり確認
ファクタリング業者との契約で、手数料率や支払スケジュールなどを正しく理解する必要があります。満額支払いと言っても、実際の運用やルールづくりはこれから詰められていく段階です。
2. 相見積もりや相談を活用する
ファクタリング業者は数多くありますので、可能なかぎり複数業者の見積もりを比較するのがおすすめです。また、下請法や独占禁止法のガイドラインも改定される可能性があるので、公的機関の相談窓口などを活用して最新情報をキャッチしましょう。
3. 発注側とのコミュニケーションも大切
今後、発注企業側が手数料をどのように扱うかは大きなポイントとなります。
不利な契約を強いられないよう、価格交渉や契約書のチェックをしっかり行ってください。
まとめ
今回の下請法改正案では、約束手形の禁止や『ファクタリング支払いの満額化』が焦点となっています。これによって下請企業の資金繰りが改善し、より健全な取引環境が生まれることが期待されています。一方で、誰が手数料を負担するのか、どのように具体的な運用ルールを定めるのかなど、今後も注視すべき課題は残っています。
ファクタリングを活用したいと考えている企業や個人事業主にとっては、最新の法改正情報やガイドラインを把握しながら、安心・安全な取引先を選ぶことがますます重要となっていくでしょう。
ファクタリングnaviでは、今後の法改正の動向やおすすめ業者の比較など、中小企業の皆さまが有利に取引できる情報を随時発信していきます。
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